研究概要 |
本研究は,社会・組織心理学的視点から,教職員の組織認知と相互作用に注目して,学校組織における意志決定とリーダーシップの構造と機能に関する理論的・実証的研究成果をまとめたものであり,三部構成となっている。 第一部は理論編であり,最近の学校組織研究における主要な動向の一つである,教職員の認知と相互作用に注目した実証的研究についてまとめた。 第二部では,学校組織における意志決定に関わる教師集団に焦点を当てて,(1)教師の協働的効力感,(2)教師の対人的葛藤関係,(3)協動的職場風土,(4)教授組織の改革の効果,(5)教師とスクールカウンセラーの協動的関係の五つの点に注目して,協動的教師集団の形成に関わる研究成果を報告した。その結果,職場風土やコミュニケーションスキルのあり方が協動的関係を促進し,そのことが学校組織の改善と深く関わっていることがわかった。 最後に第三部では,学校組織における管理職のリーダーシップに焦点を当てて,意思決定との関連で検討した。調査研究と観察・面接研究の結果,校長のリーダーシップを教師が評価するだけでなく,受容することが重要であることが明らかになった。さらに,教頭のリーダーシップは学校組織に内部事項に関わる経営や内・外におけるネットワーク的な役割を強く求められていることがわかった。
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