研究概要 |
難読状態から平常レベルに到達するための基準を読解=書記語の音韻変換×聴解と定義し、先行研究の位置づけをおこない、今後の研究の方向性を示した(RASK,2003)。続いて、日本人大学生を英語読解力レベルに応じて3群に分け、先行研究の調音意識テストを実施し、群効果を確認し、英語読解構成要素の総合図をまとめた(Dyslexia,2004)。そこでは、読みの学習に及ぼす発音の効果の可能性を指摘したが、ここから、母語である日本語の音読の諸問題が注目される。その基礎研究を推進するため、ひらがな1文字の音読潜時を測定し、本研究では、その誤差を再確認するとともに、ボイスキーの可能性と限界を明らかにして、今後の研究に示唆を与えた(Perceptual and Motor Skills,2003a)。また、漢字音読潜時の要因が漢字学習時期であるとする先行研究では、音節の長さは音読潜時に効果を及ぼさないと結論づけているが、本研究では、そのデータを再検討し、1音節語が2音節語に比べて時間が長いという結果を得た(Perceptual and Motor Skills,2003b)。これは、日本人の英語音読に影響を与えるはずであり、今後の研究課題として残る。これらは、母語からの英語の読みへの影響あるいは干渉ととらえられる。一方、漢字圏の英語学習者は、漢字という形態素表記文字からの影響を受けるという論がCognitionに発表されたが、これに対する反論を同誌に発表した(Cognition,2004)。
|