研究課題/領域番号 |
14510196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
樫澤 秀木 佐賀大学, 経済学部, 教授 (60214293)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 環境紛争 / 環境影響評価 / 双方向コミュニケーション / リスク・コミュニケーション / 規範の動員 / 共考 / 有明海訴訟 / 決定の社会化 / 討議デモクラシー / 紛争処理 / コミュニケーション / 環境アセスメント |
研究概要 |
日本の環境影響評価制度は、環境紛争を適切に処理するという観点を欠いており、むしろそれ自体が、紛争の火種となりかねないものである。その大きな原因は、開発事業者と住民などとの双方向コミュニケーションが制度上求められていないことにある。 他方、今日の環境問題は、ますますリスク問題の様相を深めており、リスク評価に対する人々の参加要求は高まってきている。それを反映して、社会心理学や社会学ではリスク・コミュニケーションについての検討が深められつつある。それらの研究は、双方向コミュニケーションを当然の前提としており、環境影響評価制度に比べれば社会の実態に適合しているが、しかしそれは紛争が発生・激化しないように方策を練るものであり、紛争が発生・激化した後の処理方法を検討したものではない。 紛争事例を調査してみると、法的権限のない住民などが、開発事業者との間で、双方向コミュニケーションの場を創出し、リスク・コミュニケーションを行っているものがある。そこでは、双方互いに、自己に有利に、したがって戦略的にコミュニケーションを進めようとするため、逆に、コミュニケーションは双方から独立して、過去のコミュニケーションの蓄積に主に依拠して進められる。紛争を適切に処理できるのは、コミュニケーションの蓄積以外の何物にも制約されない、無制限のコミュニケーションの流れだけなのである。 しかしながら、このことは、決定を産出すべき制度が、無制限のコミュニケーションの流れを確保し、紛争を処理しようとすると、何ら決定を産出できなくなることでもある。決定産出機能とコミュニケーション確保機能とが衝突するのである。この問題は、理論的にも実践的にも重要でありながら、まだほとんど考察されていないように思われる。
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