研究課題
基盤研究(C)
本研究の主な目的は、司法通訳をめぐる現実と問題点を言語面から明らかにすることである。そのため、様々な司法に関わる場面で通訳や翻訳を行っている司法通訳人に対するグループ・インタビュー調査を実施した。調査項目は、通訳の正確性、通訳人の役割、ワイヤレス通訳システムの是非、通訳事例における言語面及び制度や法廷の特殊性に起因する問題、文化・社会的背景、研修制度、司法通訳の資格化、資金支給方法等についてである。本調査からは、司法通訳人は外国人被疑者・被告人等の言語権を保障するための存在であるはずなのに、実際には裁判進行の補助的存在となっており、その立場が脆弱である状況があきらかになり、多くの課題が山積しているということが分かった。日本における司法通訳制度には試験や資格要件もなく、報酬も一定していないことなどから、経験を積み能力のあるプロフェッショナルの通訳人がなかなか育たない現実が存在している。次に、捜査段階及び公判段階における音声記録が入手不可能である現状において、これまでの外国人犯罪裁判例の中から司法通訳の正確性・公平性が問題となった事例3件を選び、その供述調書、公判調書と担当弁護人に対するインタビューから、最近のわが国の司法過程における言語問題を探求する試みを実施した。当該裁判において言語面でどのような点が問題とされ、またそれとの係りで、通訳人と被告人の言語能力を本事例において司法関係者がどのように判断しているかを実証的に考察しようとしたものである。
すべて 2004 その他
すべて 雑誌論文 (4件) 文献書誌 (3件)
国際関係・比較文化研究 第2巻第2号
ページ: 229-249
110004683394
平井勝利教授退官記念 中国学・日本語学論文集
ページ: 591-614
Journal of International Relations and Comparative Culture Vol.2, No.2
Collection of Papers on Chinese and Japanese Studies : A Tribute to Professor Katsutoshi HIRAI(Committee for Commemorative Collections of Academic Papers)