研究課題/領域番号 |
14510226
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
北澤 裕 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20204886)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
|
キーワード | ヴァーチャル・リアリティ / サイバースペース / 視覚 / ヴィジュアル・カルチャー / ポストヒューマン / スクリーン / アバターとヴァーチャル視覚 / デジタルとディアスポラ / モナドとパノラマ・ビジョン / 直接性の構築 / 物質・情報実体 / 直截性の構築 / イナーシア / ビジュアル・カルチャー / 身体 / 自我 / 視覚社会学 |
研究概要 |
今年度は、「ヴァーチャル」であることと「アクチュアル」であることとの概念的規定、および両者の比較と関係を「視覚」と結びつけることを主に取り上げ考察を行った。まず、「ヴァーチャル」と「アクチュアル」の理論的な区分を行い、これをもとに「アクチュアル-ヴァーチャル」の軸と「可視-不可視」の軸とを交差させ、ヴァーチャルで不可視の存在からアクチュアルで不可視な存在にいたるる四象限を規定し、この分類に従って世界を捉えてみた。モナドとコンピュータにおいては、「記憶」や「メモリー」という不可視でヴァーチャルなものが、視覚表象という可視的でヴァーチャルなものに変じるだけなのであるが、人は、この不可視でヴァーチャルな事柄の「可視化」の過程を、まさに物事が眼の前に立ち現われるという感覚から、具体的な現実の事物への「アクチュアル化」と見間違えるのである。従って、アクチュアル化に見せ掛ける可視化、すなわち「擬制的アクチュアル化」とこれによりアクチュアルであるかのように生成される可視的ヴァーチャルが、ヴァーチャルの本質だといえる。次に、ヴァーチャルは、擬制的アクチュ.アル化を通じて、絶えずアクチュアルを目指し、アクチュアルであろうとすることによってヴァーチャルな状態を維持すると考え、絵画からコンピュータによるヴァーチャル・リアリティにいたるまで、ヴァーチャルがアクチュアルに限りなく接近するための要件を考察した。この要件とは、「直接現前性」、「充実性」、「身体性」、「相互作用性」、「サイバー相互主観性」、「透明性」であり、これらが「ヴァーチャル・エポケー」を達成することによりヴァーチャルな世界が生み出されると指摘した。この一端を論文「テクノロジーのイドラ「ヴァーチャル」-胡蝶から雀蜂へ-」で論じ、3年間の成果を、著書『見る行為とヴァーチャルな世界』(仮題)にまとめる準備を進めている。
|