研究課題
基盤研究(C)
1.本研究は、教職追放政策の変化が教育改革の実施過程に及ぼした影響の分析及び「逆コース論」の理論的検討を通じて、通説とされてきた「逆コース」論の再検証を目的としたものである。2.「逆コース」論の理論的検討をつうじて、この論が教育政策の転換を論ずる際に、その転換が「何から何への変化・転換なのか」、「その変化・転換の性格はどのようなものか」について説得的な論拠を示し得ていないと問題点を明らかにした。3.教育改革の実施過程に及ぼした影響を明らかにするために、ケース・スタディとして東京を対象に分析をおこなった。1948年から1950年の間の東京軍政部及び関東民事部月例活動報告書をもとに教育改革の実施過程の分析を行い、この間の改革に変化・転換があったかどうかを検討した。その結果、変化は一部(教員組合や共産主義に対する政策)に見られたが、基本的には「教育民主化」という政策で一貫していたことを明らかにした。4.以上の検討により、(1)通説である教育「逆コース」論とそれに基づき構築された戦後教育史像には大きな問題点があり、批判的な再検討が必要なこと、(2)そのために、理論的検討と同時に、GHQレベルはWeekly Reportの分析、地方レベルではさらに多数の府県の軍政部民事部が作成した月例活動報告書の分析による実証的研究が必要であること、を提起した。
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北海道教育大学紀要(A部門) 第55巻2号
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北海道教育大学紀要(A部門) 第55巻第2号
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