研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、八重山地方における生態と世界観について、人々の日々の活動の実践に注目しながら文化人類学的視点から明らかにし、アイヌの世界観との相違を明らかにすることである。波照間島を集中的調査地としてフィールド調査を実施し、生態の動態については、とくに魚や植物の伝統的知識の継承に焦点を当てて、神信仰の動態については、とくに、波照間島のもっとも重要な神行事であるプーリン(豊年祭)を取り上げ、伝統儀礼の維持と変容、現代における儀礼の意味などという点から分析した。最後に、波照間島の神の観念について、アイヌとの比較検討を行った。その結果、以下の点が明らかにされた。波照間島では島の環境整備の中で自然植生が変化するなかで、植物名が標準和名化するなど変容する傾向が認められたが、儀礼に用いられる植物についての伝統的知識が受け継がれていた。また、鳩間島での魚名の伝承にも認められたが、伝統的知識は日常的実践と深く結びつきながら、継承されることが明らかにされた。また、波照間島では作物がサトウキビに変わり年間の農耕暦も変化する中で、ほとんどが農耕儀礼といえる伝統的神行事が年間で46回実施されていた。その一方で、島をあげての豊年祭と豊作予祝の儀礼では、神への拝みに関しては伝統を守りながらも、一部では簡素化を図るというように現代的調整が計られていた。神行事の実施は信仰上の問題であるばかりではなく、伝統文化の継承に寄与し、島民の帰属意識とも深く関わるという、宗教の現代的意味が確認された。最後に、波照間島における神の観念において、特定の土地が神の所在として重要な意味をもつことが確認された。しかも、アイヌでは神が狩猟採集の対象である動植物を介して具現化されるのに対し、波照間島ではミジィマチ(水の供え)によって具現化されるというように、神の観念は農耕という生態と密接な関係をもつことが明らかにされた。
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Shamanhood : An Endangered Language, Oslo : Instituttet for sammenlignende kulturforskning (印刷中)
Shamanhood : An Endagered Language, Oslo : Instituttet for Sammenlignende kultur-forskning (in print)
Shamanbood : An Endangered Language, Oslo : Instituttet for sammenlignende kulturforskning (印刷中)
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