研究課題/領域番号 |
14510336
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
佐野 敏行 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (20196299)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | アメリカ文化社会 / 高齢者の生活変容 / センサス分析 / ヨーロッパ系移民 / 日系移民 / 自立 / エスニシティと高齢化 / 文化人類学 / 比較家族史 / 歴史的民族誌 / アメリカ文化 / 移民の適応過程 / 家族形態の変化 / 高齢者 / 親子関係 / エスニシティ / 比較民族誌 / 自立と依存 |
研究概要 |
本研究は、アメリカ文化の自立の概念が、移民の間に、とくに高齢化の過程において、どのように浸透していったか、どれだけ自立概念がアメリカ文化の中で普遍性をもっているのかを、センサス資料とインタビューを通して明らかにすることを目的とする。このために、ヨーロッパ系住民と、アジア系住民を対象に比較分析する。この分析から、多様な個人が共生して生活するための自立的文化に関する研究の基礎を作ることも目的とする。 この浸透過程と高齢化を検証するために対象地としてポーランド系を主にヨーロッパ系の住民からなるアメリカ中西部小都市(仮称・リヴァーフロント)と、19世紀末から日系をはじめとするアジア系移民の多いハワイ州ハワイ島のヒロ市である。 本研究では、こうした二つの地域における1900,1910,1920,1930の各年のセンサス手書き原簿と、その他の歴史的資料(住民年鑑、土地台帳など)を加え、主にファミリ構成の歴史的再構成によって明らかにする。また、対象地で比較的生活する期間が長い人々へのインタビューを通して得た資料を加えて、地域性(産業、気候、先住者の存在など)、社会的地位、エスニシティとどのような特徴的な結びつきが、その浸透過程にあるのかを検討する。 その結果、異なるエスニシティをもつ移民の高齢化と自立概念の浸透過程は、移民一世から始まるとする推論をさらに補強した。ヨーロッパ系とアジア系の移民がそれぞれの文化的背景の違い、そして、移民過程に違いがあるとしても、アメリカ的な価値体系の吸収は、アメリカでの定住を決断したときに、自らの体の中に浸透していったことは間違いないだろう。人生ストラテジーを、自分の文化から、新しい土地にみられるそこで暮らしてきた先人の文化から、そして、一世パイオニアとしての共通経験的要素が加味されて、アメリカ的自立の概念は、おそらく、どのエスニシティの人々にとっても、一世の心に浸透した概念であったと思われる。
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