研究課題/領域番号 |
14510346
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
樋口 知志 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (10198989)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 前九年合戦 / 後三年合戦 / 陸奥話記 / 奥州後三年記 / 安倍氏 / 清原氏 / 奥州藤原氏 / 蝦夷 / 『陸奥話記』 / 『奥州後三年記』 / 『後三年合戦絵詞』 / 源氏 |
研究概要 |
『陸奥話記』『奥州後三年記』の写本調査・資料収集をほぼ完了し、書誌学的研究を深めることができた。これまで『後三年記』写本の跋文に見える最古の年号として注目されていた寛永3年が、京都出身の儒者三宅澹庵による『話記』『後三年記』合綴本の書写年であったことが多和文庫本『後三年記』(木下順庵旧蔵本)から判明、またその系統の漢字、カタカナ交じりの諸本よりも更に古いタイプの『後三年記』写本として、聖藩文庫本に代表される漢字、草体かな交じりの諸本が存在していたことも明らかになった。つまり、江戸時代のごく初期には既に、前田家旧蔵『後三年合戦絵詞』の詞書を写した『後三年記』の写本や『陸奥話記』写本が知られるところとなっており、それらを一体としてテキスト化する動きのあったことが確認できた。どうもそれは幕府や水戸藩による修史事業より大きく先行し、京都周辺で生じていた動きであったらしい。また『話記』に関していえば、江戸初期の諸本は皆冒頭部分が『群書類従』本系の通用本と共通するものであったと見られ、一部語句を空白とするタイプの諸本はそれより成立時期が新しいと考えられる。唯一異なる冒頭部分を有する尊経閣文庫本はまさに特異な孤本だったことになる。 両書を史料として用いた前九年、後三年合戦の実像および同時代の諸問題に関する研究成果として、『秋田市史第一巻 原始・古代通史編』め第八章「前九年、後三年合戦と秋田」を執筆し、2004年春刊行予定である。旧稿「前九年合戦と後三年合戦」(『平泉の世界』)における失考を一部修正することができ、またとくに政治史的考察において新知見を幾つか加えることができた。なお、中央政界における政治動向と奥羽での動きとの関連についての分析・検討がきわめて不十分であった観は否めず、今後の課題としたい。
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