研究課題
基盤研究(C)
これまでの調査と研究の結果、概略次のような成果を得た。第一に、このテーマに関する資料の保存状態の良好な新潟県南魚沼郡旧五十沢村文書など在地資料の収集を行い、先の視点に立って分析を進めたが、とりあえず明治前期南魚沼郡選出の県会議員である佐藤良太郎に焦点をあて、「人権と自治」の担い手としての足跡をたどった成果をまとめた。これと、既発表の長岡市成立をめぐる分析や、対岸地域の物流や人口移動の状況などを合わせて、近代日本の国民国家形成と地域社会の論理を対比的に検討することが出来た。第二に、環日本海諸地域との比較史的研究のために、新潟港との関係が深まっていった遼東半島の大連を中心とする物流の動向について個別具体的に的に考察した。新潟地域からの人口移動の動向等を勘案しつつ新潟在住の住民の対岸認識について検討した。第三に、「裏日本」論(地域社会発展の不均等是正論についての歴史的経緯)をめぐる研究成果を前提としつつ、それが大正デモクラシー期の地方政治・地域自治との関係の中でどのような意味を持ったかについて、新潟県古志郡山古志村などの事例研究の成果を整理した。一方地域経済や地域社会発展の論理が、環日本海諸地域、とくにロシア極東地域との関係において生み出されていく摩擦について、北洋漁業をとりあげて検討した。第四に、雪害救済運動をめぐる問題についての分析とともに、電灯料値下げ問題を追跡し、この時期に特有の住民運動の歴史的特質について検討した。さらに総力戦体制が構築されるなかで表面化する地方都市の軍需産業転換や兵力動員の増大、食糧増産運動などを通して進められる町村体制の再編強化の実態を分析することを通して、住民の総力戦体制への組み込まれ方について実態的な検討を行った。それらが国民国家を維持するための総力戦遂行という課題に直面したときにどのような変化が起こったかについて微視的に検討した。
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