研究課題/領域番号 |
14510379
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
|
研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
井原 今朝男 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (20311136)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2005年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2002年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 債務史 / 質券之法 / 挙銭半倍法 / 所有の曖昧性 / 質流れ観念の未成熟 / 利息一倍法 / 売買と貸借の未分化 / 利息総額主義 / 助成 / 用十八度之礼書 / 籠屋 / 切符 / 請取状 / 請負契約 / 決算システム / 中世語の両義性 / 文書集合論 / 請取と貸借 / 下書 / 中世借用状 / 請取状の多義性 / 債務契約文書 / 請取 / 去状 / 曳文 / 流文 / 借状 / 中世請取状 |
研究概要 |
1,日本のおける債務史研究という新しい研究分野を創造することを目的に研究を積み重ねてきた。これまで、「中世借用状の成立と質券之法」(『史学雑誌』111-1)、「中世請取状と貸借関係」(『史学雑誌』113-2)、「日本中世の利息制限法と借書の時効法」(『歴史学研究』812)などによって研究成果を公表し、債務史の分析視角と分析課題を提示するとともに、前近代社会の債務債権関係の慣習法が、近代資本主義社会のそれと時代的に異質であることが明確になり、債務史という研究分野の存在を明示することができた。 2,前近代社会の債務・債権関係の慣習法 A 近代資本主義社会では利息制限法は利子率を制限するが、貸借期間がつづくかぎり永久に増加しつづける。しかし、前近代社会においては、利息は本銭の二倍で制限される利息一倍法と銭の場合には本銭の半倍以上には利息が増えないという挙銭半倍法が機能しており、利息制限法は総額主義であった。 B 近代では、貸借契約で質流れになった場合は、売買契約と同様物権が移転し、所有権が移る。しかし、前近代の質契約では、質流れのあとでも債務者が返済の意志を示せば、質物は債務者にもどされるという質券之法が機能しており、質流れ観念が未成熟であり、質物は容易に流れないもので、質権の自立性が強かった。売買と貸借の観念が未分化であった。 C 近代では自分のものと他人のものが明瞭に区別される。しかし、前近代では、神物・仏物とひとのものとが区別され、自分のものと他人のものの区別が曖昧であり、請取状も預状も返抄なども借用状として機能した。
|