研究課題/領域番号 |
14510388
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
菅谷 成子 愛媛大学, 法文学部, 教授 (90202126)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
2004年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 東南アジア史 / フィリピン史 / マニラ / 華僑・華人 / 植民地 / 東南アジア近世 / スペイン / 近世史 / フィリピン:スペイン / 移民 / スペイン領フィリピン / 中国系メスティーン / 中国人 |
研究概要 |
本研究の目的は、18世紀中葉以降、カトリック化した中国人移民と現地女性との婚姻から産み出された中国系メスティーソ(混血人)が、独自のアイデンティティを形成して、次第に中国人移民社会とは袂を分かって中国系メスティーソ社会の一員となり、一つの社会集団として析出する過程を、スペイン領フィリピンの首府マニラの植民地都市史の文脈に位置づけて記述することにあった。具体的には、中国系メスティーソが中国人移民とならぶ都市住民として成長する過程を(1)現地女性との婚姻と中国人移民の現地化との関係、(2)中国系メスティーソと中国人移民社会、スペイン人や原住民を中心とする植民地社会との社会・経済関係に焦点を絞って解明することを目的としていた。まず、スペイン語手稿文書や公刊史料の内容分析に基づき、マニラの都市住民としての中国人の存在が「スペイン総督府」と「マニラ市」という二つの権力といかに関わっていたのかを明らかにした。これにより、副次的に、当時のスペイン植民地行政文書を扱うさいの留意点も明らかになった。次に、フィリピン国立文書館所蔵の「マニラ公正証書原簿」から、特に中国人あるいは中国系メスティーソの関わった「公正証書遺言」を抽出して、その内容を分析した。その結果、当時のマニラの中国人は、スペインの統治政策の下、カトリシズムを受容し、現地女性と婚姻し、マニラに生浩基盤を築いたが、このことは必ずしも中国的価値観からの離脱や故郷との断絶を意味しなかった。また、中国人と結婚した中国系メスティーソ女性が、これら中国人の現地化を促進する一方、マニラの中国人移民社会の維持にも重要な役割を果たしていた。これらの研究成果の一部を2004年6月、オランダのライデン大学で開催された「第7回国際フィリピン研究学会(7th ICOPHIL)」において、報告した。なお、今後の課題として、上記の(2)については、さらに検討していく必要がある。
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