研究課題/領域番号 |
14510405
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
高木 勇夫 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (20179419)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 学士院 / アカデミー / 道徳政治科学 / 自由主義 / 社会立法 / 社会調査 / 監獄論争 / 学士院会員名鑑 / 学士院会員名簿 / 国民の身体管理 / 植民地政策 / ユニヴァーサリズム / <からだ>の復権 / ビブリオテーク・マザリーヌ |
研究概要 |
フランス学士院は革命期に共和政国家の研究と教育の最高機関として創設されて以来、200年の伝統をいまにつたえている。その伝統とは、アカデミー・フランセーズが代表してきた言語と文明の純化という課題に応えることなのだが、いまひとつの目標として、自由と秩序を維持するという難題がある。ルネサンス以来の人文学を、真に科学の名に値する人間社会科学に再編し、あわせて社会の漸進的な発展を保証しようとしたのである。そうした目標はしばしば保守的な自由主義と位置づけられ、革新をはばむものとして一部の識者からは蔑まれることもあった。たとえば1848年の2月革命において、「社会作業場」のルイ・ブランと、産業発展を目指すサン=シモン主義者のミシェル・シュヴァリエが鋭く対立したように。しかし、産業地帯や農村の社会調査やおりからの監獄論争への介入をつうじて、そもそも「社会」という概念を具体化した人たちこそ、この道徳政治科学アカデミーに結集した知識人たちであった。 本研究は革命期の学士院・道徳政治科学部門と7月王政期の道徳政治科学アカデミーを一体の存在ととらえ、両者の哲学的・道徳的な一貫性を軸に、前半の100年の歴史を総括しようとした。冒頭では学士院とアカデミーを並列の存在のように書いたが、革命期にはアカデミーを廃止して学士院をたちあげたのだった。学士院の中核に位置づけられたのが道徳政治科学部門であり、1832年にそり流れをくむ人びとを参集して道徳政治科学アカデミーが成立した。平成14年度は研究の下準備として、道徳政治科学アカデミーの『論文集』の索引をつくり、革命期から100年間の会員の交替の模様を跡づけた。またフランスの学士院図書館その他で主要会員の論考や著書を閲覧し、同アカデミーの活動が人間科学と社会科学を総合する立場にあったことを確認した。平成15年度には再度フランスを訪れ、史料的な裏づけをえるとともに、研究交流を深めることができた。 最近、フランス本国においても当該領域への関心が高まり、研究者の業績も相次いで発表されるようになった。くわえて、発足200周年を記念して学士院を構成する5アカデミーの会員名簿が編纂されるにいたった。こうした最新の研究動向をうけて、研究代表者である高木も成果を一書にまとめる予定である。まずは今回の科学研究費補助金の研究成果報告書として、「道徳政治科学アカデミー会員リスト』をとりまとめた。その内容は、ほぼ100年前に作成されたフランクヴィル公爵の名による『学士院会員名鑑』を精度において上回るものと自負している。
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