研究課題/領域番号 |
14510411
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
渡辺 和行 奈良女子大学, 文学部, 教授 (10167108)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 移民 / 外国人労働者 / 近代フランス / ナショナル・アイデンティティ / ナショナリズム / 国民教育 / ユダヤ人 / 近代史 / フランス / 外国人 / アイデンティティ |
研究概要 |
本研究の大きな目的は、外国人に注目することで、国民概念や国民意識の形成を搦め手から明らかにすると同時に、移民社会に突入した現代人に、外国人との共生の可能性について歴史的展望を与えることにあった。 本研究は、「外国人」を切り口にして、こうした問題にアプローチを試みたが、当初の計画通りには研究は進捗しなかった。とはいえ、本報告書に収めた第1章や第3章の研究を通して、このテーマについての見通しを与えることはできたと考えている。また、第2章は外国人を真正面から論じた研究ではないが、外国人を国民化するひとつの手段が初等教育を通した国民統合にあり、その意味で、ナショナル・アイデンティティの形成を問う本テーマに深い関わりのある研究と言いうる。 第1章は、近代から現代まで、フランスにおける移民と外国人の歴史について概観したものである。このテーマに関しては、こうした通史的な邦語文献すらなかったことが研究の立ち遅れを逆に示していると言いうる。第2章は、第3共和政前期の小学校で使われていた歴史教科書を取りあげて、誰が英雄とされ、どのように描かれているのかという分析を通して、ナショナル・アイデンティティの問題を把握しようとした論考である。第3章は、第1章とも関連するが、ジャコバン的共和国は、外国人に対してどのようなスタンスを取ってきたのかを通観した研究である。 こうした研究を踏まえて、今後、さらにフランス革命期の「国民」論議と公民証などの行政システムの整備の問題、それに、第3共和政期の政策についての研究を深めていく必要があるだろう。第3共和政期でも、1880-90年代と1930年代、ともにフランスがナショナリズムを強めていく時期の政策が問われねばならないだろう。フランス人の国民化は、外国人を徴づけることによっても進んだからである。
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