研究課題/領域番号 |
14510429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
考古学(含先史学)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 良之 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (50128047)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2003年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 集団 / 親族関係 / 氏族 / 氏 / 古墳時代 / 首長制社会 / 国家形成 / 家族 / 親族集団 / 首長 / 国家形成過程 |
研究概要 |
考古学界においては、弥生時代に家父長制家族・農業共同体が成立し、家族経営へと移行していた、もしくは共同体経営など歴史的に存在せず、縄文時代以来家族経営であったという説が有力視されてきた。ところが、その一方では、古代史学界では奈良時代まで共同体が残存するという説が有力で、両学会で全く異なる集団像を描いてきた。しかし、これまでの筆者の親族構造研究は、双系社会から父系社会へと転換し家父長制的家族が成立するというもので、本来、それ以前の古墳時代前半期の集団が共同体の姿を残したままであることを含意していた。 本研究は、これらの学界の状況を受けて、古代国家成立以前の段階である古墳時代の集団構造の解明を試みたものである。まず、日本考古学における「集団」概念の検討を行い、それが考古学に学問としての自立性をもたらした反面、具体的に実在した社会像と乖離する結果をもたらし、それが社会人類学等との互換性を阻害していることを明らかにした。次に、弥生時代からの集団の変質をトレースし、韓国の古墳時代集団の分析例を援用しつつ、わが国の前半期古墳時代の集団が、以下のようであることを明らかにした。 まず、個々の古墳はキョウダイ原理に基づく同世代血縁者を葬っているが、同時期の数基がまとまり、それらの被葬者が相互に血縁者であるという事例が少数ながら得られており、集団の代表を選択する際に、「特定個人」はおろか、キョウダイを基調とした「家族」(その背景は複数世帯)の範囲を超え、イトコなどのより広い親族にまで及ぶ場合があったことを示している。したがって、集団の基本構成原理はいまだ親族原理であった可能性があり、5世紀後半に始める「氏」の前身である前半期の集団が、親族集団、すなわち「氏族」原理をもつものであったと考えられる。
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