研究課題/領域番号 |
14510457
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
国文学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中山 昭彦 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80261254)
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研究分担者 |
紅野 謙介 日本大学, 文理学部, 教授 (20195671)
十重田 裕一 早稲田大学, 文学部, 教授 (40237053)
城殿 智行 大妻女子大学短期大学部, 国文科, 専任講師 (00341925)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2003年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2002年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 映像表象 / 言語表象 / メディア・ミックス / 大衆文化 / メディア |
研究概要 |
本研究では、以下の三つの領域の重層的な関係を探究した。 1、大正期から昭和期にかけての小説とその挿し絵の関係の歴史的変容を、小説の成立過程、造本形態、検閲とそれに対する対応から明らかにした。 2、明治末から昭和期にかけての映画における映像とセリフの関係を、サイレレントとトーキーの差異、シナリオと文学作品の相互作用、検閲とそれに対する対応から解明した。 3、映像表現と文学的表現の差異を示すために、映画に関する理論的な考察を行った。特に構造主義と記号学に関する理論の再考と、ポストモダニズムに関する理論の再構築を行い、映画史への適応可能性を示した。 この結果、明らかになったのは、以下の三点である。 A、純文学の小説作品が検閲に対する過剰な反応の結果、挿し絵をほとんど用いなくなり、言語による風景や人物の描写を主眼とする一方で、発達する印刷技術を生かした大衆小説は、会話中心の小説に次第に比重をおきはじめる歴史的経緯が明らかになった。 B、当初、純文学作家が占めていた映画のシナリオライターの地位は、次第に大衆作家にとって変わられるようになるが、このことは、大衆小説が会話中心の小説技法を洗練されてゆくことと密接に関係している。また映画における場面転換における大胆な時空間の省略も、大衆小説の技法を受け継いだものといえる。 C、このような大衆小説の技法を取り入れた映画は、更にその技法を洗練させ、小津安二郎に代表されるような、大胆な省略の映画を生むにいたる。しかし、それは日本的な現象ではなく、映画の時空間の表現を大きく変えるものであることが、理論的かつ具体的な考察の面からも明らかになった。
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