配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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研究概要 |
語形成に規則と記憶という異なる二つのメカニズムが関与すると主張する二重メカニズムモデルに従えば、サセ使役には規則による演算処理、語彙使役にはネットワーク的記憶が関わっていると考えられる(Sugioka et al. 2001)。この仮説を検証するために128チャンネル脳波装置(Neuroscan)を用いた事象関連電位(ERP)測定実験を行った。 語幹を共有する語彙使役とサセ使役のペア(並べる、並ばせる)を用いて、語彙使役文では正文(料理を並べる)と意味選択の逸脱文(くしゃみを並べる)、サセ使役では正文(選手を並ばせる)とサセの選択制限違反の逸脱文(料理を並ばせる)とを刺激文とし、それぞれ正文と逸脱文との波形を比較した。さらに,語彙使役正文とサセ使役正文との波形の比較も行った。 語彙使役文では逸脱文の文末動詞で意味的な処理を反映するN400成分が出現した。一方サセ使役文では,早い潜時帯(250-300ms)で左半球前頭部陰性波LANが,その後300ms以降左右差のない前頭部陰性波ANが観察された。この結果は,サセ使役の処理に演算的側面が関わっていることを示唆する。サセ使役逸脱文の処理では,予測に反して正文との比較におけるP600が観察されなかったが,これはサセ使役正文にも陽性電位の増大が見られたためであると考えられる。そこで,サセ使役と語彙使役の正文同士の比較を行ったところ,サセ使役にP600が出現していることが判明した。これは,サセ使役文の埋め込み統語構造処理に関わる負荷を反映するものと解釈できる。 上記の結果と,本研究開始以前の同メンバーによる研究(失語患者を対象とする使役構文についての実験(Sugioka et al. 2001),名詞化に関わる研究(Hagiwara et al. 1999))とを統合的に考察し,包括的な語形成理論としての二重メカニズムモデルの妥当性を示した。
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