研究概要 |
研究代表者は、平成14年度の研究成果を整理・総括し、それらを踏まえたうえで、さらなる深化・進展に努めた。具体的には、[1]文献による理論研究、[2]言語資料の収集と分析、[3]談話における倒置構文に関わるデータベース作成等から得られた研究成果を、関連性理論、及び認知文法の観点から総合的、かつ、統合的に検討し、談話における倒置構文とその推論メカニズム解明に重点をおいて研究を進めた。 関連性理論の観点からは、倒置構文が談話内で果たす機能と関連性理論との関わりを検討した。とくに、談話における倒置構文と認知効果、及び処理労力との関連性を探り、さらに想定から導かれる論理形式と語用論的推論との関係を明らかにし、倒置構文に関する推論メカニズムを検討した。 認知文法の観点からは、メトニミーリンクによる語義の拡張、パートニミー・トポニミーと倒置構文との関係を詳細に検討し、メトニミー的認知プロセス、及びメトニミー的推論の観点から、倒置構文に関わる推論メカニズムを考察した。 言語資料の収集と分析については、主に英字新聞(Los Angels Times, Washington Post, New York Times, Daily Yomiuri)、英文雑誌(National Geographic, New Yorker, Time),日刊紙(読売新聞、毎日新聞),和雑誌(アエラ),及びBrown Corpus, Lund Corpus, LOB Corpus等の電子コーパス(言語資料集)から倒置構文を含む文章を収集、分析し、倒置構文のデータベースを構築した。 このようにして作成したデータベースを上越教育大学WWWサーバー(http://www.juen.ac.jp/)に載せ、インターネットを通じて一般に公開し、内外の研究者の便宜を図る。 以上の総括・統合的考察に基づいた研究の成果として、著書(共著)1編、学会誌掲載論文2編、学術誌掲載論文1編、その他1編を発表した。
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