研究課題/領域番号 |
14510530
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
園井 英秀 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (00069709)
|
研究分担者 |
園井 千音 琉球大学, 法文学部, 助教授 (70295286)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2004
|
研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
|
配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2004年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
|
キーワード | 国家意識 / アンドルー・マーヴェル / 構築的主題 / British Slave Trade / Race Theories / Romantic Sensibility / 道徳的性質 / ナショナリズム / ロマンティシズム / 奴隷制度 / 17 / 18 / 19世紀イギリス文学 |
研究概要 |
標記研究課題について、主として17世紀イギリス文学における国家意識の主題、及び同ロマン派文学思想に関わる主題として奴隷貿易の文学的関与について広く資料に当たり分析を行った。 17世紀文学における国家意識は、イギリス内乱時の政治的宗教的ポレミックとして意識される特質を持ち、この主題は、典型的にはジョン・ミルトンの散文作品における共和制国家体制に対する擁護と宗教の政治権力化に対する批判として示されるが、その内実はあらゆる意味での人間精神の束縛に対するプロテストである。この姿勢の道徳的性質はイギリス人読者に対する教育としても意識されていることを指摘した。同様の道徳的性質はアンドルー・マーヴェル文学の公共的性質として理解することができる。特に、クロムウェル三部作あるいは後期の諷刺作品における国家意識再構築の主題はマーヴェル文学の特色であるのみならず、17世紀イギリス文学における人間精神と自由という命題と連携し、文学の社会的役割を含む重要な問題を示唆するものであることを明らかにした。 また、この課題の今ひとつの大きな柱として、ロマン派文学における奴隷貿易の主題に注目し、文学における公共的主題、その社会的役割、国民意識とロマン主義の感受性との接点とバッティングの問題等の側面から文献を調査し分析した。この結果、この主題は、ロマン派思想およびその芸術的信念との整合性を示す反面、人種的偏見との関連において、ある種の限界をロマン主義の感受性自体が内包することを示し、イギリス文学の公共的性質における特殊な問題であることを明らかにした。同時にこの問題は読者の国民意識と精神的自由に対する重要な問いかけを行うものであり、イギリス文学の道徳的性質を形成することを証明した。 以上、標記の課題について研究を進め、その成果を論文として合計6点公刊し、学会口頭発表を2点行った。この課題は、イギリス文学における公共的性質の解明を行い、イギリス文学がその道徳的性質として、国家意識及び国民意識再構築の機能を果たす特殊な意味を持つことを最終的に証明するための基礎研究である。
|