研究課題/領域番号 |
14510540
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
英語・英米文学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松田 隆美 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (50190476)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2002年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | イギリス中世宗教写本 / 西洋中世のベストセラー / 時祷書 / デジタル書物学 / 書物史 / キリスト教民間信仰 |
研究概要 |
14-16世紀のイギリスおける書物文化を、書物の内容のみならず挿絵やレイアウトなどのパラテクスト的要素にも注目して考察し、特に以下の3点について具体的な研究を展開した。 1.15世紀に制作された宗教文学アンソロジー写本について、その内容的特質、挿絵の利用を中心に比較研究をおこない、テクストとイメージの間に緊密な関係性が認められることを示し、写本編纂者が独自のテクスト解釈を編集作業を通じて展開していることを具体的に例証することができた。 2.時祷書研究を15-16世紀に数多く刊行されたThe Kalender of Shepherdsの研究へと発展させ、同書の英語版に関する比較研究を通じて、同書の編纂過程を同時代の英語による時祷書およびその典拠である16世紀フランスの時祷書および15世紀の写本テクストにまで遡って跡づけ、北フランスからイングランドへとポピュラーなテクストが伝播、変容してゆく過程を具体的に跡づけた。 3.14-16世紀のポピュラーなテクストに登場する教訓的ナラティブや宗教的モチーフが同時代の他のナラティブ作品(旅行記、ロマンス、死後世界探訪諦)に活用されている事実を検証し、それらのモチーフの当時におけるポピュラリティを正確に捉えることが作品解釈にも重要であることを、Sir Gawain and the Green Knightなどの作品について論じた。 以上のような複数の具体例をめぐる詳細な研究によって、北フランスの出版文化に支えられた英語の書物文化が展開が明らかとなった。また、当時のポピュラーな書物の多くが挿絵入り本であり、同じモチーフや図像が書物以外のメディアにも積極的に利用されたことが、書物の人気をさらに高めたといえる。今後は、ポピュラリティの実態をさらに具体的にとらえるために、読書活動の実際にも注目する必要があると思われる。
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