配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2004年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2003年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
本研究の中心的な課題は、ドイツ語と日本語における言語行動と伝達能力の関係を明らかにすることであり、本研究の目的はドイツ語の伝達能力がいかなるものであるかを対照社会言語学の観点から考察することである。 この目的を遂行するために、まず、伝達能力という概念規定について議論した。この成果は、『社会言語学の国際ハンドブック』に掲載された。次に伝達能力の一つとしてポライトネスという現象を捉え、本研究の対象を明らかにした。その対象とは、言語行動の実態、社会規範、常識的な評価概念、使用規則、言語規範、学問上の概念としての評価概念、言語使用の歴史的変遷、言語とイデオロギーの関係、社会的機能である。本研究ではさらに、経験的な調査をもとにして、ドイツにおいてはポライトネス(ドイツ語の"hoflich")ばかりでなく、他の評価概念も重要な役割を果たすことを明らかにした。すなわち、ポジティブな評価概念としては"ehrlich","freundlich","tolerant","hilfsbereit"であった。ネガティブな評価概念としては"arrogant","unehrlich",intolerant","egoistisch","rucksichtslos"などであった。さらに、Usami、Watts、Eelen、Bourdieu、Eliasなどを参考にして日本とヨーロッパにおけるポライトネスの研究の動向を比較・対照し、ヨーロッパにおけるポライトネス研究がイデオロギーとの関係について詳しく取り扱っているのに対して、日本におけるポライトネス研究ではそうした側面の研究がなされていないことを明らかにした。その他、マクロ社会言語学的な研究としては、日本社会におけるドイツ語の地位やコミュニケーション能力と言語政策の問題についても議論した。
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