研究概要 |
本研究は,3部より成っている.その第1部は「アブハズ語動詞構造の研究」であり,アブハズ語動詞の基本的な活用タイプと様々な文法範疇を扱っている.特に,ここではグルジア共和国でのフィールドワークによって収集した資料を基にして,動詞の終止形と非終止形の形態を無アクセント音節におけるシュワーの出現を考慮して記述・分析している.この終止形はアクセントパターンによって3つのタイプに区分することができた(APa,APb, APcとして記述している)、さらにまた動詞複合体によって形成される疑問の形態も詳細に記述した.これらの文法的な記述以外に,この第1部ではテンス・アスペクトを含めた統語論や動詞内に現れる様々な文法的要素についての項目を記述して分析した. 第2部は「分析を施したアブハズ語テキスト」の研究である.これはアブハズ語テキストを詳細に文法的に分析したものである.テキストは,形態素による分析と逐語訳が施され,ロシア語に翻訳されている.特にここでは第1部の研究方法によって,動詞が詳細に各形態素によって分析されている. 第3部は「アブハズ語の分析語彙集」である.この語彙集は,2002-2003年の夏に行ったグルジアでのフィールドワークによって集めた資料を基にして,動詞を中心に纏めたものである.ここでは特に動詞の終止形と非終止形の各スロットがどの様に人称接頭辞の項によって充填されるかを,第1部の研究方法によって記述した.これは斯学では始めての試みであろうと思われる.またこの語彙集には名詞(複数形も記述)や接辞等がアクセントも含めて記述されている.
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