研究課題/領域番号 |
14510624
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 俊也 九州大学, 大学院・言語文化研究院, 助教授 (80207117)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2004年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 比較言語学 / 歴史言語学 / ゲルマン語 / 印欧祖語 / 動詞体系 / 形態論 / 言語変化 / 非ブルークマン的モデル / インド・ヨーロッパ祖語 / 非ブルークマン的再建モデル / アクティヴ仮説 / ゲルマン祖語 / 過去現在動詞 / 強変化動詞 |
研究概要 |
本研究の目的は、古英語科子現在動詞の分析から出発して、ゲルマン語動詞体系成立に関する新たな歴史・比較言語学的理解を得ることにある。過去現在動詞は次のように形態論的特異性を示すものである。現在単数形は典型的にo-階梯の語基母音を示し、強変化動詞の過去単数形に相当するものである。それに対して、過去現在動詞の過去形は歯音接尾辞を用いて形成され、弱変化動詞の過去形に相当するものである。伝統的な研究では、これからの特異性の起源を次のように解釈してきた。すなわち、元々のo-階梯完了形が新たな現在形として再解釈されると同時に、元々のe-階梯の現在形が消失、さらにはゲルマン語固有の歯音過去(弱変化過去)が新たな過去形として導入されたという仮説である。本研究は、伝統的解釈に潜む問題点を明らかにすることで、このような見解に疑問を投げかけるものである。過去現在動詞の歴史的発展に対してより、説得力のある自然な説明を与えるために、本研究では、近年の比較言語学研究で提案され、「非ブルークマン的モデル」あるいは「活格仮説」と呼ばれる印欧祖語再建モデルを採用する。このモデル、あるいは仮説が主張するところによれば、印欧祖語はギリシア語やサンスクリット語に見られるような時制の区別に基づく複雑な動詞体系は持たず、「活格型」または「分裂-S型」と呼ばれる言語に見られるより単純な動詞体系を所持していたということである。一連の経験的分析を経て、本研究は次のことを明らかにするものである。すなわち、過去現在動詞はゲルマン祖語で散発的に(偶発的に)新造された動詞ではなく、かつて極めて生産的だった、非常に古い、非動作的静的動詞の化石的残存物であるということ。また、いったんこの見地を得れば、ゲルマン語の動詞体系そのものの成立に関して、説得力の高い新たな説明を提案できるということを論じるものである。
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