国内適用可能性という概念は、アメリカ法に起源を有するが、今日では条約が国内的効力をもつ国で普通に用いられている。そして、この概念はEC法において注目すべき発展を見せている。アメリカ法及びEC法における定義や用法を綿密に分析したうえで、一般的な考察を行った。研究成果報告書では、一般的考察を記述した。 国内適用可能性の概念に個人の権利義務を創設するということを含める説は有力であるが、国内適用可能性は、国内においてそれ以上の措置の必要なしに直接適用されうることと定義し、個人の権利義務創設とは別の問題ととらえるべきである。国内適用可能性と国内的効力が混同されることは少なくないが、この2つの問題ははっきり区別すべきである。国際法が国内で効力をもつことは直接適用されるための必要条件ではあるが十分条件ではないからである。国際法が国内で直接適用されうるかは当事国の意思によって決まる、それは国際法の問題だ、という説が有力である。しかし、当事国の意思を探求するのはあまり意味がない。当事国の意思は存在しないことが多いからである。国際法は国内的効力を与えられたということに基づいて直接適用可能であると推定されるべきである。国際法が国内で直接適用されうるかは、国内法が決定する問題である。ただ実際には、その決定基準は諸国においてだいたい共通している。国際法規定が国内で直接適用されうるかは当該規定の明確性にかかるとされることが多い。国内適用可能性の問題は、国際機関の決議や司法判断に関しても同様に生じる。
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