研究課題
基盤研究(C)
英国の1986年金融サービス法をモデルに、日本でも新しい金融の流れに対応する規制のあり方が論じられたが、その後、金融機関の破綻処理・不良債権問題の処理問題が優先し、この問題は一頓挫を来していた。その間に英国はさらに2000年の金融サービス市場法を制定し、いまではEU資本市場法制のモデルともなっている。私は、この研究課題に先立つ平成11年~13年にかけて、同じく基盤研究(C)として、日本の横断的資本市場法制の考え方について研究を行ない、さらに本研究においてその具体的な立法提言を行なうための研究に従事した。近時は資本市場法制の理想版ともいうべき横断的包括的資本市場法制論議よりも、当面投資サービスのみに関する投資サービス法制定の動きが金融審議会を中心に強まってきた。しかしこの種の基本法規は作る際に、できるだけ理想版を見据えるべきであり、あくまでも日本の実情に合致した、しかも欧米の水準を十分に消化した横断的包括的資本市場法制にかかる理論モデル構築の意義はきわめて高い。本研究は、この間NIRA(総合研究開発機構)に設置された「法と市場と市民社会のあり方に関する研究」研究会(上村が座長)において、後半の共同研究という形でさらに検討が加えられた。この研究会には市場問題を研究する四つの21世紀COE研究拠点リーダーの参加も得ている。その成果は、NIRAの研究報告書全三冊としてまとめられ、平成17年5月に刊行された。その共通の表題は、「包括的・横断的市場法制のグランドデザイン」とされ、第1巻は、総論編であり「日本版金融サービス市場法制のグランドデザイン」、第2巻は各論編、第3巻は海外事例編とされている。この第1巻で私も本研究の成果を公表している。本研究の研究成果は、単に私の論文という形で公表されるだけでなく、大きな拡がりのある喫緊の改正課題として受け止められ、具体的な立法作業に対して一定の貢献を果たしつつあると考えている。
すべて 2005 2004 2003 2002 2001 その他
すべて 雑誌論文 (14件) 文献書誌 (9件)
世界 2005年5月号
NIRA編 包括的・横断的市場法制のグランドデザイン第一分冊
World
A Grand Design for the Comprehensive Market Legislation vol.1
ジュリスト1280号
Jurist Issue 1280
ジュリスト 1280号
企業会計 55巻2号以下
Accounting Vol55, Issue 2
国民生活センター 金融商品の多様化と消費者保護
企業会計(中央経済社) 53巻4号以下
National Consumer Affairs Center of Japan, Diversification of Financial Services and Consumer Protection