研究課題/領域番号 |
14520079
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
|
研究機関 | 大阪大学 (2003) 亜細亜大学 (2002) |
研究代表者 |
島岡 まな 大阪大学, 法学研究科, 助教授 (20222036)
|
研究期間 (年度) |
2002 – 2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2002年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
|
キーワード | 刑事和解 / 刑事調停 / フランス / 被害者保護 / ADR(裁判外紛争仲裁) |
研究概要 |
平成14年度〜15年度の2年間に、フランス語論文やインターネットを通じて情報収集すると共に、フランスのパリ(パリ第2大学、ボビニー裁判所、ナンテール裁判所、被害者支援協会)、リヨン(リヨン第2大学、リヨン司法の家、リヨン検事局)、グルノーブル(司法の家、被害者支援協会)、ボルドー(裁判所、司法監視および社会復帰センター、和解センター)での現地調査を行い、刑事和解(刑事調停及び刑事示談)についての理解・研究を深めた。特にリヨンでは、リヨン検事局と市民による裁判外紛争センターを両方訪問することにより、両者間に役割分担をめぐるある種の確執があることが分かった。 これらフランスの代表的な3大都市における調査を通じて、フランスの刑事和解の全体像(理論と実際)を把握した結果、概ね以下のような知見が得られた。1)「刑事和解」という言葉の定義は一律ではない。フランスの首都パリとリヨン、グルノーブル、ボルドーの地方3都市では、用語の意味が一律ではない。2)1980年代半ば、フランスの一部地域(特にリヨン、ボルドー)の研究者や各種協会関係者によって自発的に開始された「刑事和解」の理念は、被害者に光を当て、刑事手続を国家の独占から再び私人(地域社会)の関与を許す手続へと変化させることにより、被害者と加害者の対話・和解を通した真の問題解決を目指すものであった(修復的司法)。3)フランスと日本では、犯罪増加による裁判所の負担減の要請や国民性が異なり、日本において刑事和解が近日中に導入される可能性はかなり低い。しかし、今後の民事ADRの拡充、刑事裁判員制度の導入等により、日本国民の司法参加に対する積極性が増せば、将来、刑事和解導入の可能性も視野に入ってこよう。そのような場合の比較法的資料として、本研究は意義のあるものと考える。
|