研究課題/領域番号 |
14530017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
岡田 和彦 高崎経済大学, 経済学部, 助教授 (20315691)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2003年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2002年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 移行経済 / 市場経済 / 多様性 / 経済格差 / 階級性 / 不均等発展 / 進化 |
研究概要 |
1990年代以降のロシア経済のシステムとしての市場移行を、マクロ的・ミクロ的に実証分析した。ロシアでは、政府主導で形成された金融・産業グループの寡占状態に代表される、政府と企業の密接に癒着した新たなロシア型資本主義経済が出現した。それは、アメリカ流の新古典派経済学の市場経済モデルとも、ロシア革命前のロシア経済とも根本的に異なるものである。この経済システムのもと、一方では国民経済はマクロ的には着実に回復し、成長してきた。それは、ロシア経済が1990年代末には市場移行を基本的に達成したことを示している。他方では、ミクロ的には地域間、個人間の経済格差が確実に拡大してきた。それは例外的な異常事態というよりもむしろ、市場経済の特質をなす「部分性」つまり不均等発展の発現として、市場移行の論理の貫徹を示している。 かくして、ロシアにおける市場移行はうまくいった。そしてうまくいったがために、新たなロシア型資本主義経済システムのもと、国内における地域間・産業部門間・社会階層間の経済格差は一方的に拡大してきた。その際、とりわけ不完全雇用や賃金未払いの広範化を受けて、労働者の失業・貧困問題が深刻化している。また、都市周辺部では現代における「プロレタリアート化」が、ホームレスの増大として深く静かに進行している。 この2年間、私自身の体調不良と家族の病気のため、ロシアでの現地調査をはじめ研究計画は大幅な修正をよぎなくされた。しかし、『現代経済学事典』(岩波書店)でロシア・ソ連関連の18項目を執筆し、東京大学大学院で学術振興会特別研究員および大学院生を指導し、また一般市民向け学術講座(アソシエ21主催)を担当したことを通じて、社会貢献という新たな領域で活動を行なったことは、私自身の今後の研究生活にとって少なからずプラスになると思われる。
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