研究課題/領域番号 |
14530021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
TRAN VAN THO 早稲田大学, 社会科学総合学術院・社会科学部, 教授 (70227669)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 移行経済 / 多国籍企業 / 技術移転 / 合弁企業 / 国営企業 / 飛地 / グローバル化 / 漸進主義 / 企業家精神 |
研究概要 |
本研究の目的は、計画経済から市場経済へ移行する国に対する技術移転の特徴・問題点を経済学的アプローチで分析し、経済移行を成功させるための課題を指摘することである。ここでいう「技術」とは生産技術だけでなく、各種の管理技術、経営ノウハウを含む経営資源であるので、多国籍企業の直接投資を通じる技術移転を考えている。事例研究としてベトナムを取り上げ、2002年までの製造業に対する外国直接投資の2,435件を分析した。 ベトナムは移行経済と同時に発展途上国でもあるため、本研究の分析枠組みの構築に当たって多国籍企業による途上国への技術移転に関する既存の理論仮説と実証研究も参照した。そこで所有形態と利潤極大化に基づく多国籍企業の行動、経済開発促進と民族主義的感情に基づく現地政府の政策との交叉から技術移転の形態と速度が規定されることがわかった。しかし、移行経済の場合はもっと複雑で、現地政府は多国籍企業への警戒が強まるほか、市場経済への理解が不足であるので技術移転が非効率で試行錯誤を繰り返している。 ベトナムはもう1つの問題がある。移行戦略として漸進主義が特徴づけられるが、国営企業の改革が棚上げられるだけでなく、民間企業の発展も遅れたのである。このため、多国籍企業の合弁相手はほとんど企業家精神が乏しい国営企業であるので、多国籍企業から子会社への企業内技術移転が円滑に行われていない。さらに裾野産業の未発達、経営効率が欠如する国営企業、未発達の民間企業といった環境の下で多国籍企業から現地企業への企業間技術移転も少なく、外資系企業が国民経済の中の飛び地になる傾向があったのである。 問題解決の方向としてベトナムの新たな改革による市場経済の発展の促進と国際協力が必要であるが、到来しつつあるグローバル化の時代が効果的圧力になり、技術移転が促進されうる。これが、本研究が明らかにしたもう1つの結論である。
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