研究課題
基盤研究(C)
本科研費による研究は、3軸理論の当初の仮説から出発して、(1)その1つの修正と、(2)1つの実証的現状分析の前進、(3)1つの理論的発展を達成することができた点に成果がある。第1の修正点は、3軸の第3の軸についてである。1つの軸は国家の過剰撤退による制度破壊と国家の制度構築機能を両極端とする軸線、そして第2の軸は地域統合への参加度合いとそこからの距離の線を表現する軸であるが、この2つに次元の軸の交差にたいして3次元の軸は自由化の程度を表す軸ではなくて、経路依存の軸とも呼ぶことのできるものを置く必要があると結論を出した。それは移行前の経済システムと実体経済の状況を示すものである。移行経済諸国はこの3次元空間に配置されることによって類型化のための「グループ分け」できる。自由化の程度はむしろその結果として把握すべきである。第2の現状分析の前進では、第2の軸である地域統合つまりEU加盟を「統合される」東欧の視点からレジーム選択と制度構築のプロセスとして分析することに成功している。その結果、EU加盟の過程を多次元的多面的かつ相互依存的に論じることができるようになった。第3の理論的発展では、3軸の相互関係をより包括的に体系化するための理論的プラットフォームとして、コンフィギュレーション理論を定式化した。それは国家-企業-社会諸団体-個人の4つの主体の相互連結の三角錐型一国構造、4つのタイプの調整の進化的複合的発展、多層分析と自律的エージェント論による多主体複雑系分析、ブリコラージュ的体制転換論を特徴とする。それに基づいて中東欧の移行経済を分析して、著書として出版した。さらに、この理論がさまざまな現状分析に応用可能であり(下記論文参照)、また最近のポスト・ワシントン・コンセンサスにもとづく「新しい比較経済論」にも制度派の「資本主義の多様性」論の検討にも有効であることを2005年6月の比較経済体制学会共通論題報告などでも示した。
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躍進する中国と回復するロシア(上原一慶編著)(高菅出版) 第3部第4章
ページ: 469-488
躍進する中国と回復するロシア(上原一慶編著)(高菅出版) 第1部第8章
ページ: 146-164
進化経済学会 進化経済学論集 第9集
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比較経済研究 (投稿予定)
Japan Association for Evolutionary Economics, (Proceeding of the annual conference) (Japanese) No.9
Dynamically Advancing China v.s. Recovering Russia (Uehara Kazuyoshi(ed.)) (Takasuga Shoten) (Japanese)
比較経済体制研究(比較経済体制研究会) 第11号
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ロシア・東欧経済論(大津定美・吉井昌彦編) 第10章
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Comparative Economic Studies (Kyoto (Japanese)) No.11
Russian and East European Economies (Ohtsu Sadami and Yoshii Akihiko (eds.)) (Minerva Shobo, Kyoto) (Japanese)
ロシア・東欧経済論論(大津, 吉井編著)(ミネルヴァ書房)
比較経済体制研究 11号
Europa 2002(Hunagary) Vol.5, NO.1
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Japan Association for Evolutionary Economics, Evolution/Transition, Evolutionary Perspective on the Transition Economies, March 27-30,2002, Kyoto and Osaka (Proceeding of the International Conference)
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