研究課題/領域番号 |
14530038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経済政策(含経済事情)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮本 謙介 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00209941)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2005年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2004年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2003年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2002年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 都市労働市場 / 新国際分業 / 拡大大都市圏 / 内部労働市場 / 日本的経営・生産システム / アジア経済危機 / 地域経済圏 / 国際労働市場 / 国際的労働力移動 / 新中間層 |
研究概要 |
本研究は、アジア各国の統計データや関係文献の集中的な収集によるマクロ分析と、筆者独自の現地実態調査によるミクロ分析を統合し、アジア開発最前線における労働市場の国際比較を試みた。分析対象は、中国の上海市と広東省、インドのデリー首都圏、タイのバンコク首都圏、マレーシアのクアラルンプル首都圏、インドネシアのジャカルタ首都圏などである。具体的な分析課題は、資本規模・企業規模別の労働市場編成、個別企業における内部労働市場の性格、各労働市場における性別分業、労働者の学歴階層性と職務分業・技能形成の関連、労働市場の地域性と市場構造の異同などである。これらを総合的に分析することによって、現代アジアの開発最前線における労働市場の国際比較の解明を課題とした。 結論を総括的に言えば、アジア各国・各地域の多様な労働市場の形成は、各国・各地域に固有の社会制度的要因と、主に先進国多国籍企業の直接投資によるインパクトを受けて浸透する市場原理、この両者が相互に規定しあって特異な展開をみせている。例えば、アジア側の制度的要因としては、中国の戸籍制度、インドのカースト制度、マレーシアの多民族性などが階層的な労働市場の形成を規定するという側面である。また外資主導型の開発工業化ゆえに、生産のコスト節減と効率化の追求が高学歴の専門職労働者層と生産職の低賃金労働者の極端な格差を生み、またアジア域内の賃金格差ゆえに、域内の国際労働力移動を大規模している。したがって、国内の労働市場が重層化するだけでなく、国際的にも市場の重層化が顕著となり、労働格差が拡大する。外資系企業の主役である日系企業も、経営の現地化と労働コスト削減の戦略ゆえに、日本的経営・生産システムのアジア的適応を図り、労働市場の格差構造を顕在化させる一要因となっている。労働者の圧倒的多数を占める不安定就業階層の生活と雇用を保障する制度整備が緊要の政策的課題となろう。
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