研究課題
基盤研究(C)
1.遼寧省、吉林省、黒竜江省からなる中国東北の工業は中国経済の中で大きな位置を占めてきた。しかし、その位置が具体的にどれほどのものであったのか、またそれがどのように推移してきたのかについては、意外なほどに実態が明らかにされていない。資料面での制約が研究を妨げてきたからである。2.本研究では、まず中国東北における国共内戦の複雑な経緯を整理した。つづいて鉄鋼業を題材に復興過程の実態を明らかにし、中国東北における工業建設を規定した国際環境が1930年代と1950年代の間でどのように違っていたのかを整理した。そのうえで収集した東北三省の工業生産額に関する統計データを吟味し、各種統計資料に用いられている表示価格や記載内容を整合させて、工業発展の特徴を概観した。3.工業発展の特徴は5点である。(1)東北工業、とりわけ重工業は中国経済の中で、終始、大きな位置を占めていた。(2)生産額は長期的には伸びているものの、毎年の増減率は大きく変動し、1950-60年代には特に激しく上下していた。(3)重工業における生産額の急増は1950年代後半、そして1960年代前半には対全国構成比の増大と連動していた。(4)1960年代後半になると重工業の対全国構成比は大きく後退し、70年代後半からは工業全体としても低下していた。(5)東北3省の工業発展の間には1958-59年(大躍進時期)と1960年代後半(文化大革命期)に違いがあった。東北3省の工業生産額は1958-59年に急増し、1961-62年には急落していたが、黒竜江省ではこうした変化が特に激しく、この過程で黒竜江省と遼寧省では軽工業が躍進し、吉林省では軽工業、重工業がどちらも大きく伸びていた。また第三次五力年計画(1964〜69年)の前半にあたる1964-66年において、黒竜江省の重工業生産額は遼寧省や吉林省よりも大きく伸び、1967-68年の落ち込みも両省に比べて小さかった。これらの特徴を統計数値によって確認したことは新たな知見である。4.平成19年度には在外研修により米国政府が収集した資料を補強し、毛沢東体制下の中国東北工業の発展を研究する。
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The International Order of Asia in the 1930s and 1950s (Shigeru Akita & Nicholas White ed.) (Ashgate PublishingCo)(forthcoming)
The International Order of Asia in the 1930s and 1950s (Shigeru Akita & Nicholas White ed.)(Ashgate Publishing Co.) (forthcoming)
北東アジア経済研究 4号
ページ: 29-43
40015341837
文化共生学研究 1号
ページ: 193-206
環 10号
ページ: 288-294
Kan : History, Environment, Civilization, Fujiwara-shoten (in Japanese) Vol.10
Studies in Cultural Symbiotics No.1
Studies on North-East Asian Economies No.4