研究概要 |
本研究では,社会科学系の学生が専門科目で学ぶことを念頭に,企業との関係を考慮しての今後の情報倫理教育のあり方と大学の様々な分野の教育への応用可能性について研究を行った. 企業との関係では次の通りである. 企業社会では広範囲にわたる情報倫理問題が存在する.しかし,一般的には情報倫理=コンピュータネットワークの倫理問題+αにとどまり,企業教育の状況や希望も同程度である.企業社会を意識した教育は社会科学系学部が行う傾向にあるが,情報倫理問題に関してはすべての国民について重要な問題であるため,系列を超えて広範囲な教育を行わなければならない.そのためには企業社会で必要とされている情報倫理の教育を教養教育レベルで行うべきであることを示した. また,企業人を育成する立場として大学教育を考え,各教育レベルおよび分野でどのような情報倫理教育を行うべきかを論じた.その結果,教養教育レベルでは企業社会を意識した全体的な情報倫理教育を行う必要があり,専門教育ではそれを踏まえた上で,より専攻内容と関連させた教育を行うことが不可欠であることを提示した.そしてそれにより,企業社会の情報倫理の諸問題に対して,分業して対策にあたることが可能になることを示した. その上で,e-Learning利用の視点でも教育のあり方と最近の情報倫理教育状況を比較し,昨今の情報漏洩問題等に対応できる人材を教育するためには,未だ不十分であり,教養教育から専門教育まで一貫して様々な科目を通して教育を行うことが肝要であることを提言した.
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