研究概要 |
我が国において電子商取引の市場規模は年々拡大を続けている.電子商取引が進展することにより,中間業者は改めてその存在意義を問われる状況となっている.中間業者は今後その役割をどこに定め,どのような体制を組み,どのような業務を果たしていくべきかを明らかにすることを本研究の目的としている.ここで中間業者とは,卸売業者(再販売目的の業者やビジネス利用の業者に商品やサービスを販売する業者)や代理商(エージェント),仲立業(ブローカー)を含むものと考える.本研究の実施にあたり,筆者らは中間業者の果たしてきた役割は今後も重要であり,中間業者は今後も存在し続けるという立場を取った. 本研究では,まず中間業者が果たしてきた役割を整理し,情報収集・伝達,カウンセリングなど9種類に分類した.そして,中間業者の機能を代行する電子ビジネスの調査として,eマーケットプレイス(eMP),情報仲介,電子流通業の事例を調査した.また,電子中間業および電子小売業の運営会社などのトップにインタビューした.さらに,アメリカにおけるeMPの成功要因を分析し,12の要因を抽出した.最後に電子中間業者が担うべき役割を効率良く果たすために,業務効率を向上させる方策をヒアリングにより調査した. 本研究により,以下のような結論が得られた.(1)中間業者が生き残り,繁栄するには,電子中間業者に移行する,業務見直しやIT化により業務の一層の効率化を進めるなど,いくつかの選択を迫られる.(2)電子中間業では情報収集・伝達機能が最も重要であるが,商品選別・品揃え機能や在庫調整機能,販売促進機能もまた重要である.(3)業務効率化にはIT化が不可欠であり,SCMやCRMおよび他の情報交換・共有システムによる中間業者と顧客・小売・メーカーとの緊密な連携が求められる.
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