第一に、FTC米国連邦取引委員会ガイド、IS014021国際規格、公正取引委員会報告書を参照し、環境配慮製品の広告表示における不当表示防止の要件を考察した。「環境にやさしい」などの全般的効果の主張では、銘柄名に使用する場合も限定条件の説明が必要である。「生分解可能」表示では、分解条件、分解程度、分解期間の説明が必要である。ポリ乳酸系生分解性プラスチックでは、発酵コンポスト等の管理された環境が必要な場合は、その条件を表示する必要がある。リサイクル可能表示では、リサイクル施設が大多数の消費者に利用できない場合は欺瞞表示に該当する。資源節約、省エネの主張は比較主張となるため、比較対象を明示しなければ、欺瞞表示となる。 第二に、FTCガイド、ISO14021、14020を参照して環境広告の事例分析を行った。環境効果を特定しない全般的環境効果の主張、誇張表現、省略表現で問題事例が多く見られた。省エネ、節水、省資源化、長寿命化の主張においては、比較根拠となる製品の製造年次、機種モデルの明記が無いもの、直近の製品との比較でないもの、経年変化が表示されず古い製品との単純比較が多く、改善が必要である。 第三に、第三者認証を経ない企業の環境ラベル(タイプII自己宣言型)は、その多くが自社基準に適合した環境製品であることを表示するために使用される。これは「供給者による適合宣言」に該当する。ISO/IECガィド22、ISO14021の要件に基づき、供給者による適合宣言では、基準文書(自社基準)を開示することが望まれる。しかし、自社基準の開示状況と基準の難易度は、企業間で大きな格差があり、家電製品では自社基準に曖昧なものがある。企業の環境ラベルの信頼性を確保するためには、自社基準の具体的内容を開示することが急務である。
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