研究概要 |
本研究は、わが国のこの10年以上にわたる経済低迷の主因ともいえるバブル期およびその後の邦銀経営の問題点につき経営学的に分析し、今後邦銀が国際競争力を回復し日本の経済の基盤として再生するための方策につき経営学的な観点から検討しようとするものである。本研究の独自性は,これまで経営学的研究の対象として取り上げられることのほとんどなかった銀行経営を対象とし,そこで実証的経営学研究の一分野としての銀行経営論を打ちたて銀行経営の再生という実践的な課題にも取り組もうというところにある。日本での先行研究がほとんどない中で,現在まで次のような課題について同時並行的に研究活動を進めていった。 1.欧米の先行研究の調査等-14年、15年の2度にわたり米国に出張し,米銀の経営戦略と組織について文献収集,研究者からのヒアリング,事例研究を進めるとともに、邦銀経営失敗の事例をまとめ米国の研究者やMBA学生たちと議論した。米国金融機関中経営的に最も注目を引くシティグループについてその経営成否分析のためのケースをまとめた。 2.基礎となる資料の収集-銀行社史を収集し,各銀行内部資料の収集を開始した。 3.銀行経営者のインタビュー-元大手銀行頭取、副頭取(複数)のインタビューを行った。 4.他の研究者との協力ネットワークの樹立-資料の収集や情報交換での協力体制を作った。 銀行経営研究方法論の確立-バブル期の経営意思決定に焦点を当て,文献調査,参与観察を交えたインタビュー,アンケート調査を組み合わせた経営学的研究手法をまとめ,これを学会や研究会で発表した。
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