研究概要 |
均等法1期生の就労状況とともに,人事管理上,どのような問題点等が存在するのかを,3年間にわたって調査した結果の概要である。 まず,女性の特性として出産が挙げられる。子育て支援体制は万全とは言いがたいが,仕事と子育て・家庭を両立しつつ就労を続けている実態が明らかになった。 しかし,結婚・出産・子育てが就労を続ける上での障害となっていることも事実であり,面接やアンケート調査では,多くの女性が仕事を続ける上での問題点として上位に挙げている。そして,男女平等を推進する上で,社会全体と企業での意識のずれがあり,女性にはかえって負担になっているという現実も浮かび上がってきた。 次に,経済的理由よりも自己の成長,自分自身の生活の豊かさ,社会とのかかわりを重視したいなどの理由で働き続けている女性が多いことも分かった。企業では,昇進,昇格についての男性と女性との格差が現実に存在している。が、今のままで安定した仕事を続けたいと希望している実態が調査から浮かび上がってきた。もちろん,女性の中には昇進,昇格を望み,自分の実力を試したいとする人もいるが少数派である。 また,人間関係の複雑さや,女性が就労を続けるための社会の支援がまだまだ不十分であることも裏付けられた。企業努力はもちろんであるが,これからの少子高齢化を迎える社会にあっては,結婚・出産・子育て等を含めた男女共同参画社会の真の意味での実現を目指す,社会全体の支援策が考えられなければならない。 たとえば,家庭や個人の事情も考慮する,男女差別のない職場を作る,人事考課等を積極的に公開する,女性としての実力を発揮できる場を提供するなどの施策を検討すること,社会や企業の意識の改革を推進することがより求められる。
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