研究概要 |
多元環Aの巾等元eに対し、recollement {D_<A/AeA> (A), D(A), D(eAe)}構造とそれを導く完全三角形ξ(e)を研究した。その上で、2つの多元環上のrecollement {D_<A/AeA> (A), D(A), D(eAe)}とrecollement {D_<B/BfB> (B), D(B), D(fBf)}の間にrecollement構造を保存して導来圏同値を引き起こすrecollement tilting鎖複体の条件を決定することが出来た。D_<A/AeA> (A)とD_<B/BfB> (B)、D(A)とD(B)、D(eAe)とD(fBf)のそれぞれの導来圏同値は完全三角形ξ(e)から構成され、特に非有界鎖複体ΔがD_<A/AeA> (A)とD_<B/BfB (B)の導来圏同値を導くことを示した。これらの諸結果を対称多元環Aの場合に適用した。すなわち、対称多元環A, Bとそれぞれの巾等元e, fに対し、D(eAe)とD(fBf)の間に導来圏同値を導くtilting鎖複体が与えられたとき、recollement {D_<A/AeA> (A), D(A), D(eAe)}とrecollement {D_<B/BfB> (B), D(B), D(fBf)}の間に導来圏同値を導くrecollement tilting鎖複体の族{T_n}_<n【greater than or equal】0>を構成することに成功した。この応用として、対称多元環上の功の長さ2の部分tilting鎖複体がtilting鎖複体になる必要十分条件は、その直和因子の個数が多元環のGrothendieck群の生成元の個数に一致すると言う所謂tilting加群でのBongartzの補題の鎖複体版を得ることが出来た。さらに、上の構成方法で出来たrecollement tilting鎖複体の族{T_n}_<n【greater than or equal】0>での導来圏同値は、A/AeAとB/BfBの間で森田同値を導くことが分かった。その他関連する結果として、ネーター局所環とその完備化の間の平坦射によって誘導される有限生成加群のグロタンディェク群の間の射がいつ単射になるかを研究した。グラスマン多様体の射影空間への埋入によるアフィンコーンがいつRoberts環になるかを決定した。正規射影多様体の因子類群と、その(正規な)斉次座標環の因子類群の関係を一般化した公式を証明した。準フロベニウス拡大A/Bに対して、Bがnon-singularのとき、Aが自己入射的であれば、Bも自己入射的であることを示した。また、Bが入射的かつそのsocleが0でないような右イデアルをもつならば、Aも入射的かつそのsocleが0でないような右イデアルを持つことを示した。
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