研究概要 |
有限群Gの標数p>0の代数的閉体F上の群環をFGとし,そのブロックをB,不足群をDとする.Bのカルタン行列をC_Bとし,C_BのFrobenius-Perron固有値をp(B)とする.どのような場合にC_Bの固有値と単因子が一致するかについて考察することを研究目的とし,次の結果や予想を得た. 1.Bが有限表現型(すなわちDが巡回群のとき),またはtame(すなわちp=2でDがdihedral, generalized quaternionまたはsemidihedral group)のとき,次は同値.またGがp-可解群のときは,(1)と(2)は同値. (1)C_Bの固有値と単因子が集合として(重複度をこめて)一致する. (2)p(B)=|D|. (3)p(B)が整数になる. またこのとき,BとBのBrauer対応子bとは森田同値となる. 2.予想 C_Bの単因子全体の集合をEとする.C_Bの固有多項式f_B(x)=f_1(x)・・・f_r(x)をZ-既約分解とする.各f_i(x)=0の根全体の集合をR_iとすると,次の(i),(ii),(iii)を満たすEのdisjointな分割E=E_1∪・・・∪E_rが存在するのではないか. (i)各iについて|R_i|=|E_i|. (ii)R_i, E_iに含まれる固有値,単因子の積が一致する. (iii)p(B)∈R_1とすると|D|∈E_1となっている. 3.Bが有限表現型で既約B-加群の個数l(B)が5以下のとき,またはBがtameのとき,予想は正しい.さらにこのときはp(B)がf_1(x)=0の根のとき,degf_1【greater than or equal】degf_i for all iが成り立つ.さらに単純群でカルタン行列が知られている場合は予想が成り立つことを確かめた.
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