研究概要 |
当該研究課題に関する研究実績の概要は以下の通りであり,成果は学術雑誌等に発表された. 研究代表者野村は,先ず分岐を制限した代数体の埋め込み問題が不分岐解をもつ条件について調べ,その応用として,不分岐な非アーベルp拡大の存在について考察した.pが奇素数の場合の主結果の一つは,次のように述べることができる.GをGAPナンバー[243,65]の群(位数が243でランクが4の非アーベル群)とする.5次巡回体Fの類数が3で割り切れるならば,F上の不分岐ガロア拡大でガロア群がGと同型なものが存在する.従って,このときFのヒルベルト類体の類数は3で割り切れる.この手法は,ヒルベルト類体の類数の考察に有効であると考える.また,p=2の場合に関して,不分岐なQuaternion拡大の存在について考察し,Fontaine-Mazur-Boston予想の特別な場合が肯定的であることを証明した.これらの研究においては,分担者による群論的な考察と数式処理ソフトGAPの数値計算が不可欠であった. また、分担者の森下は、数論とトポロジーの類似について考察した.トポロジーの手法を数論に持ち込むことにより、数論における新たな理論展開の方向性を与えた.特に,代数体上にミルナー不変量を導入し,2次体のイデアル類群のランクに関するRedeiの結果を拡張した.
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