研究概要 |
1.モジュラー関数j(z)のフーリエ係数c(n)に関するRademacher-Peterssonの公式はΓ_0(l)(l=2,3,5,7,13)のHauptmodul F_l(z)の場合に拡張される.そのフーリエ係数c^<(l)>(n)はc(n)を与える無限級数のある特徴的な部分級数で表される.その原因を考察する過程でつぎの視点を得た. j(z)〜Σ__<σ∈Γ_∞\Γ(1)>q^<-1>_σ,F_l(z)〜Σ__<σ∈Γ_∞\Γ_0(l)>q^<-1>_σ,q_σ=exp(2πiσ(z)) しかし,l=2,3,5,7,13に対してのみc^<(l)>(n)が整数値となって,それがF_l(z)の無限積を導くことの理由は未解明であり引き続き今後の課題である. 2.対数エータ関数のモジュラー変換公式に現われる定数因子,すなわちRademacherのΦ関数を「普遍被覆モジュラー群」の加法的指標として把握し,新しい明示公式を得た.Dedekind和を含むこの新公式は,その数論的かつ代数的な性格を一層明確に示している. 【numerical formula】 ただしa, b, c, dはσ∈SL_2(Z)の成分であり,D(h, k)=12|k|s(h,|k|)はいわゆるDedekind和を偶数整数化したものである.Φ関数は数論のみならず幾何学を含む他の数学分野あるいは理論物理学でもしばしば援用される.本公式が利用されて新しい知見に結びつくことが期待される.
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