研究概要 |
成木勇夫,松澤淳一:曲面のモジュライ,リー群,ルート系,Weyl群等を中心に幾何と群論,表現論との接点を探り,それらの融合を図る事を目標に研究を進めてきた 3次曲面のモジュライはD_4型の単純リー群の随伴群の極大トーラス部分群を用いて記述されるのであるが,E_6型単純リー群の随伴群の極大トーラス部分群とE_6,D_4型ルート系を用いて,非特異3次曲面のモジュライ空間と,その上にのるtotal spaceを群論的に同時に構成することができた.3次曲面とE_6型ルート系の関係は古くから知られているが,今までに知られていたことだけでは,3次曲面の族を群論的に構成することはできなかった.しかし,我々の構成法を用いると,例えば3次元射影空間の同次座標を用いた3次曲面の方程式を,ワイル群の不変式論を用いてルート系で与えることができ,3次曲面の幾何を,ルート系やワイル群の立場から解釈することが容易になる.我々の構成にはモジュライもtotal spaceも同時に構成するための新しい方法が含まれていて,その結果,3次曲面および種数2の代数曲線の幾何とE_7,E_6,D_4型ルート系,Wey1群の関係について,いままでに知られていた事以上の深い関係があることがわかってきている.さらにモジュライ空間と,その上にのるtotal spaceを自然にコンパクト化することもできて,以前成木勇夫氏によって得られていたモジュライのコンパクト化の上にのる非特異でコンパクトなtotal spaceを構成することもできている.現在これらの結果を整理しまとめる作業をしているところである. 石井亮:群軌導のヒルベルトスキームの立場から、2次完商特異点に対するマッカイ対応の実現をし、さらに3次元商特異点の場合にも研究を進めた。特に、群が可換群のときに、幾何学的不変式論の立場から、より具体的なモジュラィ空間の記述を行い、その導来圏の自己同値のなす群について明快な結果を得た。
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