研究概要 |
研究成果 (1)Lie triple system (Lts)の変形理論の基礎を築いた. ●Ltsの変形理論の定式化に必要な基本概念Infinitesimal, Equivalence, Rigid, Integrableを構成した. ●Ltsの変形を制御するコホモロジーには山口コホモロジーが適切であることを提案した.Ltsの場合にも,少しだけではある,形を変えて成立することを証明した. (2)変形と摂動の区別は難しいと永く云われてきた.これについて,以下の知見を得た: ●摂動は対象における計算方法をそのまま用いて変化を解析し,変形は変化した対象を変形された計算方法で解析する. この理解は,大きな観念的転機を与えるものである. 研究形態 ペンシルバニア大学のゲルステンハーバー教授との討議を基本とする.当該補助金の援助で,平成15年9月に私が渡米し,平成17年3月に同教授が来日して,共同研究が遂行された.討議の主な内容を挙げておく. ●山口コホモロジーのLtsの変形理論における役割. ●Riemann→小平・スペンサー→Gerstenhaberを主人公とする変形理論の歴史. ●久保の新たなるテーマ「逆問題への変形理論からのアプローチ」 ●量子力学への変形理論からのアプローチ 情報発信 研究集会や論文による成果発表に加えて,高校数学部会教育大会の講演を通して高校教諭への啓蒙を行なった.また,Gerstenhaber教授は私の研究成果を米国で紹介された. 展望と課題 Ltsの変形理論の枠組みは創ったが,Ltsの表現論などの多くの概念がすっきりしていない.こらへの相容れない提案を分析することが理論完成に要求されている.また,変形と摂動の区別の私の知見並びに「逆問題への変形理論からのアプローチ」も成長させていかなければならない.
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