研究概要 |
平成14年度:A partial order on the symmetric groups defined by 3-cycles (3-サイクルで定義される対称群の半順序):n次対称群の元は自然な積表示(最短表示)をもつが、交代群に対してこの事実に相当するものがないか、つまり、n次交代群の一般の元の、n-2個の3-サイクル(123),...,(n-2,n-1,n)による自然な積表示は何か。1つの試みとして、対称群のBruhat orderとは異なる半順序を新たに定義した(これは一般のコクセター群でも同じように定義可能)。交代群の元がこの半順序で、最短表示が可能であるための1つの十分条件を得た。また、最短表示が不可能な元は「殆ど不分解な元」から得られることを示し、8次以下の「殆ど不分解な元」をすべて具体的に構成した。 平成15年度:The varieties of subspaces stable under a nilpotent transformation (べき零変換で安定な部分空間のなす多様体):ベクトル空間のべき零変換f : V -> VのJordan標準形のタイプをtype V = aと書く。2つの分割bとcに対して、集合S(a, b, c)={W<V ; f(W)<W, type W=b, typeV/W=c}は、Vの|b|次元部分空間のなすグラスマン多様体G(|b|,V)の中で局所閉集合になる。S(a, b, c)のG(|b|,V)内でのZariski閉包X(a, b, c)の特異点集合について以下の結果を得た。(1)S(a, b, c)は非特異。(2)X(a, b, c)は、分割のある半順序<に関してb'<b, c'<cなるものに関するS(a, b',c')の和集合。(3)generic vectorsを定義した。これによりX(a, b, c)の生成点が具体的に構成できて、bの列の大きさが小さいときはX(a, b, c)の定義方程式が容易に記述できる。(4)余次元2の和る特異点集合の定義方程式を記述した。
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