研究概要 |
(α,β)が3次の実数の組でその体が非総実でありかつ擬Jacobi-Perrcmアルゴリズムの周期点あるとする。 擬Jacobi-Perronアルゴリズムによる中間近似分数が最良近似であることが、伊藤俊次氏(金沢大)および古門麻貴氏(横浜国大)との共同研究で解明することができた。すなわち主結果は以下の通りである。 主定理(α,β)が擬Jacobi-Perronアルゴリズムの周期点であり、かつQ(α)が非総実であるとする。さらに周期部分に関するある条件(省略)を満足するとする。腔周期とする。アルゴリズムから定まる近似分数(P_n/q_n,r_n/q_n)は、必ずしも最良近似を与えるとは限らない。しかし、このときあるa_1,a_2,...,a_jおよびm_1,m_2,...m_jが存在して{a_1q_<kn+m_1>+a_2q_<kn+m_2>+…+a_jq_<kn+m_j>}(n=1,2,…)は、最良近似を与える。すなわち、Q_n=a_1q_<kn+m_1>+a_2q_<kn+m_2>+…+a_jq_<kn+m_j>とおき、P_n,R_nをQ_nα,Q_nβに最も近い整数点とする。√<Q_n>(Q_nα-P_n,Q_nβ-R_n)はn→∞のときの集積点は楕円になり、しかも√<Q>(Qα-P,Qβ-R)Q→∞の集積点の中の原点にもっとも近い楕円を与える。 本来の研究目標であったマルコフ・ラグランジェスプクトラムの同時近似における展開にまでは至らなかったが、その基礎的部分をなすと思われる高次近似アルゴリズムの一つである擬Jacobi-Perronを有る程度解明することができた。またそれは、同時に、高次元近似アルゴリズムが、連分数展開と異なる様相を示すことも浮き彫りになってきたと思われる。 非斉次近似アルゴリズムについて新アルゴリズムを見いだし、それが近似論的に良い性質を持つことを解明することができた。
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