研究概要 |
位相空間Xから生成される自由位相群をF(X),自由可換位相群をA(X)で表す.F(X)及びA(X)の要素は,元となる位相空間Xの要素やその逆元をいくつか並べることによって表現されるが,F(X)の要素でn個以下の長さを持つ要素を集めたF(X)の部分空間をF_n(X),A(X)の部分空間をA_n(X)でそれぞれ表すことにする.すると,F_n(X)は,XとX^<-1>と単位元をあわせた空間をn乗した積空間からの自然な写像i_nの連続像で表される.第1可算公理より少し弱い性質であるタイトネスについて1989年,Arhangel'skii, Okunev, Pestovは,「距離空間Xから生成される自由可換位相群A(X)において,A(X)のタイトネスが可算であることの必要十分条件は,Xの孤立点をすべて除いた部分空間が第二可算公理を満たす,つまりウェイトが可算である.」という結果を証明した.そこでこの結果より自然に生まれ,より強い結果を期待した問題「距離空間Xから生成された自由可換位相群A(X)において,A(X)のタイトネスはXの孤立点を除いた部分空間のウェイトと等しくなるか?」を出した.今回,研究分担者であるShakhmatov氏との共同研究で,V=Lという集合論の仮定の下では正しいことを証明した.また,自由位相群F(X)の場合についても,同じ集合論の仮定の下で,距離空間Xから生成された自由位相群F(X)のタイトネスがXのウェイトと等しくなる事を証明した. すでに述べたように自由位相群の位相構造はとても複雑であるが,自由位相群の位相構造の研究が始められた1940年代から,各自然数nに対し,自然な写像i_nが商写像になるのはXがどんな空間のときか,という自由位相群のトポロジーに関する重要で非常に難しい問題が出されていた.この問題に関して,Xが距離空間の場合においては,自由位相群,自由可換位相群いずれの場合においても,各i_nが商写像になるためのXの分類をすることができた.
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