研究概要 |
bar, cobar型のEilenberg-Mooreスペクトル系列(EMSS)は空間の(コ)ホモロジーを計算する上で大いに役立つ道具である。特に分類空間,プルバック,写像空間の(コ)ホモロジーの計算に威力を発揮する。このスペクトル系列を構成するときに重要な役割を果たすのが微分(コ)トージョン積である。研究の目的は、空間の代数的モデルを用いこの積を解析することで様々な空間(上述を含む)の内部に潜む性質を表に引き出すことにある。3年間に渡る研究の成果は以下の通りである。(「雑誌論文」の研究論文を上から[1],最後を[6]として示す。)[2]では空間のshc-極小モデルを用いて体K上のEMSSの代数的モデルを構成した。さらにK-formal空間からなるプルバックのEMSSに関する自明化定理も与えている。[3]では空間上の不変道からなる写像空間のコホモロジーに収束するEMSSを構成している。Mを単連結Riemann多様体とする。このスペクトル系列の考察から得られる結果と、Tanakaによる不変測地線の結果を合わせることにより、もし多元環としてH^*(M;Z/2)〓H^*(S^p×S^q;Z/2)ならばM上すべての等長変換は無限個の不変測地線をもつという結果を得た。数年前、研究代表者はトージョン積に値を持つmodule derivationsの概念を導入していた。[4]で私達はこのderivationsを用いてトージョン積を調べることにより、評価ファイブレーションが全体的非0-コホモローグでみるための十分条件を得ている。さらにこのmodule derivationsは随伴バンドルのコホモロジー自明化の問題に応用され、[5]では結果として、ある4次元CW複体上のSU(n)-随伴バンドルの同型類と同じバンドルのホモトピー類は一致することが示されている。Sを向き付け不可能曲面、BGをあるLie群の分類空間とする。[6]ではEMSSのE_2-項に現れるトージョン積を具体的に計算して、写像空間Map(S,BG)のZ係数コホモロジー環を完全に決定した。この研究を通じて蓄積された空間モデルを用いたトージョン積の解析方法、そしてTwisted tensor productsによるコトージョン積の計算方法は[1]におけるループ群の分類空間のコホモロジーの考察において統合された。その結果私達はH^*(BLSpin(10);Z/2)を具体的に記述することに成功している。
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