研究分担者 |
薮田 公三 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30004435)
山根 英司 関西学院大学, 理工学部, 助教授 (80286145)
市原 完治 関西大学, 工学部, 教授 (00112293)
田村 要造 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (50171905)
長田 博文 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20177207)
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研究概要 |
主に2つの方面で結果を得た.第一は、可積分力学系に付随する粒子系の統計力学についてのGibbs測度の研究である.Gallvotti-Marchioroが古く研究した可積分力学系に付随する自由エネルギーの積分の漸近解析に着目し,それを変形した統計力学的モデルの自由エネルギーの漸近挙動を調べた.結果的に,2乗分の1の特異性をもつ近接相互作用をもつ正質量場の統計力学モデルの自由エネルギーの漸近挙動について結果を得た.いわゆるmassless-fieldにおいて相互作用が凸関数の場合に大数の法則や大偏差原理が証明されている.この研究では相互作用が特異性をもつ関数なので,これらの既存の結果とは結果の形も証明の手法も全く異なっている.すなわち,特異性を持つ場合には,粒子どうしが近づきあえないので,結果的にn個の粒子がnのルートのオーダーで拡がっている.よって,それに応じてスケールすることで大数の法則が証明できることがわかった.また,この大数の法則に付随して大偏差原理も証明した.第二は、主にネットワーク理論において現在っよい関心をもたれているスケールフリーネットワークの確率論的な研究をおこなった。スケールフリーネットワークとは、たとえばリンク数などであるいくつかのサイトが「一人勝ち」をおこす現象に対応して考えられたモデルであり、現在そのような一人勝ちがおこるメカニズムを探る研究が活発に行われている。我々は、確率論において昔から知られている「ポリヤの壺」のモデルに着目し、これを変形したモデルを考える事により、一人勝ちがおこる現象を確率論の極限定理として定式化し、証明した。
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