研究概要 |
研究実績の概要は次のようである. 1.生存データ解析においては指数分布の拡張であるワイブル分布を仮定する場合が多い.しかし,ガンマ分布のワイブル化による分布形の拡張も有効であると思われ,その研究を始めた.生存データには打ち切られたデータが含まれることが自然であるため,それを不完全データと捕らえ,EMアルゴリズムを適用して計算することを提案した.現在,研究は継続中である. 2.最尤推定量の計算法であるGEMアルゴリズムの収束条件について継続して考察した.GEMの収束条件としては,Wu(1983,A.S.)が与えているが,かれの条件下では必ずしも最適解(最尤推定量)に収束するとは限らないことを既に示している.さらには,WuのEMの収束の証明にも不備があるため,修正を与えた. 3.単順序制約下での最尤推定量の計算法ではPAVA法が有名である.この方法は非常に簡単なことで有名である.しかし,単順序の制約やサンプル間の独立性の仮定を外すと,最尤推定量の計算は大変複雑になることでも有名である.Dykstra(A.S.)は単順序で無い場合にPAVAを繰り返し適用することに依って最尤推定量が計算できることを示していた.そこで,当研究では,彼の方法の双対を考えることにより,従来知られていた手法が適用でき,その収束の証明も,また実際の計算も非常に単純化することができることを示した.
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