研究概要 |
平面上の整数格子点上に頂点を持つ凸n多角形の最小面積A(n)について、limA(n)/n^3が存在することを証明し、かつその極限値が0.0185067に極めて近いことを示した。この値はこの極限値の素朴な予想であった1/54よりわずかに小さいという点で興味深い。この結果はCombinatoricaに投稿後、受理された。さらに、3次元空間内の格子凸多面体について特にzonotopeの場合の数値実験を通して最小体積とprime pointsの密度との関係を調べ、今後の研究の基礎データを得た。 多重交差族に関しては当初の目標以上の成果を得た。有限集合の部分集合族がr重t交差的であるとは、どのr個の部分集合もt点以上の交わり持つことである。集合族は部分集合の間に包含関係がないとき、Sperner族とよばれる。random walkに関する精密な評価を用いて、3重2交差族の厳密なErdos-Ko-Rado型不等式を証明した。さらにこの不等式と確率論的手法を用いて、3重2交差Spernar族の厳密な最大サイズを決定した。これらは二つの論文にまとめられ、一つはJournal of Combinatorial Theoryに掲載され、もうひとつは現在投稿中である。 以上の結果に関してZiF research year, opening conference "General theory of information transfer and combinatorics"(ドイツ)、統計数理研究所のISMシンポジウム"Statistics, Combinatorics and Geometry"、Renyi Institute "Workshop on extremal combinatorics"(ハンガリー)の3つの国際会議で招待講演を行った。
|