研究概要 |
本研究は,サイクルデザインとパスデザインに関する研究を行った.特に「n次完全グラフのすべての2-pathを1回ずつ含むk-cycleの集合」を構成する問題について研究を行った.このようなk-cycleの集合を「完全グラフのk-oycleによる2-pathの完全被覆」と呼ぶ.特にHamilton cycleのときは,その集合はDudeney集合と呼ばれ,長い間の未解決の難問である.本研究は上で述べたように, 1.完全グラフのk-cycleによる2-pathの完全被覆 を中心に研究を行ったが,これに関連した次の問題についても研究を行った. 2.完全グラフのk-pathによる2-pathの完全被覆 3.完全2部グラフのk-cycleによる2-pathの完全被覆 これらは全て,2-pathを被覆する問題であり,2-pathは"両隣り"を意味するので,これらの問題は隣接問題とも呼ばれている.本研究は,これらの他に,次のような問題についても研究を行った. 4.完全グラフのAntipodal Hamilton cycle分解の構成 これら4つの問題は,互いに関連している.たとえばk=nの場合,1が解決されれば2,3が解決され,4が解決されれば,1の2重の場合(重複次数が2の場合)が解決される. 本研究の主な成果は,以下のとおりである. (1)完全グラフの5-cycle,6-cycle,5-pathによる2-pathの完全被覆問題の解決 (2)完全グラフのAntipodal Hamilton cycle分解によるdouble Dudeney setの構成 (3)分解型(resolvable)デザインの構成 (4)対称型ハミルトンサイクル分解の構成 完全グラフの3-cycle,4-cycle,3-path,4-pathによる2-pathの完全被覆問題はすでに解決されており,本研究の結果とあわせると,これまでに解決されたすべてのケースについて,2-pathの完全被覆が存在するための必要条件は,十分条件でもあることが分かった.
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